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真鍋裕司の映画館について学ぼう


映画館とは


映画館(えいがかん)とは、映画を上映することを主目的とした施設。英語の"Movie theater"から日本語でも単に「シアター」と称する場合がある。また、日本語では「銀幕」あるいは「シネマ」とも通称される。英語でも同様にSilver screen(銀色のスクリーン)、Big screen(大きなスクリーン)と称され、テレビに対して使われるSmall screen(小さなスクリーン)と対照される。

映画は映写機により講堂の前に設置された大きなスクリーン(映写幕)に投影される。

概要


映画館は、新作映画を全国規模で一斉に上映する封切館(ロードシアター)と、独立系の新作映画を上映するミニシアター、旧作映画を主体に上映する名画座に大きく区分される。また、映倫が定めるレイティングに従い、R-18指定の映画を中心に上映する映画館を「成人映画館」、それ以外の映画が主であるものを「一般映画館」と区分することがある。

封切館は大手映画会社によって築かれた全国規模のネットワークが出来ており、テレビのネットワーク同様、原則としてネット元の映画会社が選択した映画を上映する映画館である。この場合、ある程度のヒットを想定している。封切館より立地の劣る区域には、封切館から1~2週間遅れで新作を上映する二番館というものもあり、更に遅れて上映する三番館というものも存在した。二番館、三番館では二本立てや三本立ての興行が一般的で、映画会社も特定の1社ではなく複数の会社の作品を取り混ぜて興行することも多かった。

独立系映画会制作・輸入の新作映画など小規模での公開を前提とした映画を上映する映画館を「ミニシアター」、旧作映画を主体に上映する映画館を「名画座」と呼ばれている。名画座はレンタルビデオやDVDの普及により減少傾向にある。

また、シネコン・ミニシアター共に午前中のみの上映(モーニングショー)や夜間上映(レイトショー)などで公開作品数を増やす試みが浸透している。

かつては映画館の名称が「○○劇場」「○○座」となっていたり、映画館自体を「劇場」と呼ぶことも多かった。これは元々一部の大規模映画館では、映画興行の合間にアトラクションとして実演(歌手の歌謡ショーや演芸など)が催されていたことにもよる。従って、楽屋を備えた映画館もかつては存在した。
現在では、演劇の劇場との区別のためか、名称として用いられる例は少なくなっているものの、「劇場内は禁煙です」等、映画館内部(正確に言えば客席を含む講堂内部)を指す用語としては使用されている。なお、シネコン等では「スクリーン」を同義として使用している例が多い。

2009年現在、営業中の常設館として日本最古の映画館は、新潟県上越市にある、1911年(明治44年)創業の「高田世界館」(高田日活としては2009年3月末で廃業、NPO法人が改称した)で、現在使われている建物も創業当時のものである。また長野県長野市にある「長野松竹相生座」の建物は1892年(明治25年)から使われており、こちらも最古級である。

都道府県庁所在地ほどの都市であれば、常設館があることが一般的であるが、2011年8月現在徳島市と奈良市には常設館は存在しない。

一般的な営業形態


一般的に、映画館は個人によって所有・運営されるケースは少なく(一部のミニシアターに見られる程度)、映画館運営会社(興行会社)などによって運営され、顧客にチケットを買ってもらい入場させ映画を見せ、会社はそのチケットの売り上げによって利益を得るという形をとる。
他方、上映用フィルムの配給元となった配給会社に対し、定額ないしチケット売り上げ額に対する一定割合(映画によって変動あり)の額を、「フィルム貸し料」として支払う。これが映画館の経費の多くを占める。

日本では、厚生労働省が監督官庁であり、直接的には所在する都道府県又は市が設置している保健所の監督を受ける。また、都道府県ごとに、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づく興行生活衛生同業組合(これには、映画館以外に演芸場や貸しホール等も加盟している)を組織している。なお、この組合はあくまで任意加盟である。例えば、シネコンがオープンする際に、地元の既存映画館と対立するケースもあり、その結果、そのシネコンは組合に未加盟のままとなっている例もある。

映画館の設置にあたっては、興行場法に基づき都道府県知事の許可が必要となっている。また、建築基準法による用途規制により、映画館は客席の面積が200平方メートル以上10000平方メートル未満である場合には近隣商業地域、商業地域、準工業地域でのみ設置できる。200平方メートル未満であれば準住居地域でも設置できる。映画館の規模によっても違うが、一般的に講堂内部には1スクリーンあたりおよそ80~600席の座席が設置されている。1スクリーン当たりの平均的な客席数は、300席未満の映画館が多い。

映画を鑑賞するための入場券は前売り・ないし当日券という形で販売される。前売り券の場合は多少の割引や、非売品の記念品が付属するなどの特典が付くことが多い。金券ショップに持ち込まれたものを購入することも出来るが、トラブルが皆無という訳ではないので、そのような店での入場券の購入の際には注意が必要である。また、夜間上映などの時間帯・ないし学生割引・レディースデー・『映画の日』(本来の記念日としては12月1日だが、現在では多くの都道府県において毎月初頭1日に拡大されている)・シニア割引など、様々な割引制度が実施されている(詳細については、映画料金割引の項を参照)。

映画館の受付ロビーには、上映中の作品や次回上映予定の作品のポスター・上映日程・時間帯などが示されている。これらや新聞広告・TVCMなどの情報を元に、観客は自分が鑑賞したい作品のスケジュールを知り、後日に映画館に足を運ぶ段取りとなる。また映画館によっては、上映作品の販売状況などが、空席があるのか満席かなどが受付の電光掲示板・ないしインターネットのウェブサイトなどで確認出来る場合がある。

日本の映画人口が減少期に入った1960年代後半以降、多くの映画館では『木戸銭制』(一度入場すれば、途中退出しない限り、最終回の上映終了まで、何度でも鑑賞可能)を採用してきた。が、近年主流となっているシネコンやミニシアターでは『入れ替え制』を採用しており、チケットに指定された回の上映が終わった後は、観客は速やかに講堂から退場しなくてはならない。
いずれの方式においても、入口を出た後の再入場は基本的に許可されていない(木戸銭制であれば、改めて入場料が必要)が、トイレや自動販売機・売店などが館内に設置されていない等の事情により、入場時の半券を提示することで、その半券記載の上映時間内であれば許可するシステムをとる館もある。

鑑賞・および上映中の行儀


講堂を含め、映画館内は禁煙である。これは消防法の規定や近年の公共建築物における全面禁煙化の風潮で決まっている。最近では、上映の前に携帯電話の電源を切っておくことを促す広告が目立ってきている。

指定席制度の映画館では、先着順・ないしは座席を指定して、銀幕が見やすい場所から席が埋まっていく。自由席制度の映画館では、完全先着順で座席を決めて座ってよい。ただし自由席の場合、友達や知人などのために複数の座席を占領するのは行儀違反である。
人気作品の場合は、通路に立見客が発生する事態も考えうるが、立見客が発生しそうな場合に、鑑賞チケットの販売を行うかどうかは、映画館の判断による。ただし、各館における定員はあらかじめ設定されており(都道府県によっては、館内にそれを掲示させているところもある)、それを超えて入場させると、映画館が処罰の対象となる。

作品の本上映が始まる前に、同時期に上映している映画や公開間近の映画の予告編、上記のような「映画館からの上映中のマナーやお願い」やCM(いわゆるシネアド)などが、スクリーンに映される。

多くの映画館では、付属の売店もしくは自動販売機で軽食や飲み物を販売している。講堂内でこれらの軽食類を食しながら映画を鑑賞する場合、他人の鑑賞を妨げることがあってはならない。そのため、売店で販売されるメニューの多くは、食べても音をあまり発しないポップコーンなどのものが主体となる。そういった客への利便性のため、上記の写真のように、座席にカップホルダーが付いている映画館もある。

なお、館内での飲食については「持ち込みも含めてOK」「OKだが、館内で販売しているものに限る」「飲料はOKだが、食料はNG」「予告編が終わるまではOKだが、本編が始まるとNG」「いかなる形であれNG」等、映画館によって対応が分かれるので、初めて訪れる館では注意が必要である。

上映中にトイレに立ちたくなった場合は、出来るだけ他の客(特に後ろの席で鑑賞している客)の迷惑にならぬように注意して席を立つこと。

鑑賞中は、以下のような他の観客にとって迷惑になる行為は、基本的に慎まなければならない。

・携帯電話の使用・および着信
・大きな声での私語・および「いびき」(講堂内の暗さのため、中には上映中に寝てしまう客もいる)
・ただし、上映されている作品の内容に関連する適度の感情表現(笑い・悲鳴・泣き)などは許容の範囲である
・大きな音を立てての飲食
・見苦しいほどに身体を揺らす・暴れる、または前の席を蹴る、脚を乗せる
・すでに鑑賞した者による、映画の展開の暴露。いわゆる『ネタバレ』
・上映されている画面の撮影(日本でも「映画盗撮防止法」が2007年5月に成立したため、処罰される)
・本編が始まってからの入場
・上映が完全に終了する以前の離席(近年ではエンドロールが始まると離席する客が多い。これを見越し、エンドロールの終了後に「仕掛け」を仕込んでおく監督も少なくない。)

かっては暗黙の了解という事でほぼ守られてきたが、モラルの著しい低下(特に携帯電話、前列の席への配慮)に因り2005年頃より本編開始前の予告、CMと一緒に警告映像が流れるようになった。

上映が終了すると館内に照明が付くので、場内に忘れ物が無いことを確認して退場する。講堂を出た場内ロビーでは、上映作品に関するグッズや作品解説のパンフレットなどが販売されているので、記念に買って行く人もある。

福祉への配慮


身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者向け障害者手帳)、精神障害者保健福祉手帳(手帳表紙には「障害者手帳」と書かれている)を持っている障害者は窓口に当該手帳を提出すると、映画館によっては当該障害者及び同伴の介護者の入場料金を割引く。


  • 最終更新:2012-06-11 16:26:31

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